OD600から細胞密度を求める計算ツールとは?
600nmにおける吸光度(OD600)は、液体培養中の細胞数をすばやく、しかもサンプルを壊さずに見積もるための定番の指標です。分光光度計は細胞を1個ずつ数えているわけではなく、培養液による光の散乱を測定しているため、OD600の値を細胞密度(1mLあたりの細胞数)に変換するには、実験的に求めた換算係数を使います。この計算ツールでは、入力されたOD600に換算係数を掛け合わせ、さらに培養液量を入力すれば総細胞数も算出します。
使い方
OD600の測定値、使用する菌種や装置に合わせた換算係数、そして必要に応じて培養液量(mL)を入力してください。大腸菌(E. coli)では「OD600 = 1.0 がおよそ \(8\times10^8\) cells/mL に相当する」という目安が広く知られており、本ツールでは初期値として 800,000,000 を設定しています。ただし換算係数は菌種・株・生育段階・分光光度計の機種によって大きく変わります。正確なデータが必要な場合は、コロニーカウント(平板培養)やセルカウンターで自分のラボの係数を校正してください。
計算式の解説
基本となる関係式は cells/mL = OD600 × f です。
$$\text{Cells/mL} = \text{OD600} \times \text{Factor}$$ここで f は換算係数(OD 1単位あたりの cells/mL)を表します。総細胞数は「cells/mL × 培養液量(mL)」で求められます。
$$\text{Total Cells} = \text{Cells/mL} \times \text{Volume (mL)}$$OD と細胞密度がほぼ直線関係になるのは低濃度域(一般に OD 約0.8以下)に限られます。それより高密度の場合は、サンプルを希釈して測定し、希釈倍率を掛け戻して直線域内に収めるようにしてください。
計算例
たとえば、大腸菌の培養液で OD600 = 0.5 と測定され、\(f = 8\times10^8\) cells/mL を用いるとします。このとき細胞密度は
$$0.5 \times 800{,}000{,}000 = 400{,}000{,}000 \text{ cells/mL} \ (4\times10^8)$$となります。培養液量が 10mL であれば、総細胞数は
$$400{,}000{,}000 \times 10 = 4{,}000{,}000{,}000 \ (4\times10^9)$$個です。
よくある質問(FAQ)
なぜ自分の株では換算係数が違うのですか? 細胞の大きさ・形状・凝集の度合い、さらに装置の光学系などはすべて光散乱に影響します。そのため、各ラボごとに独自の係数を校正することをおすすめします。
酵母や哺乳類細胞にも使えますか? 使えますが、その細胞用に校正した係数を用いてください。酵母の係数は、OD 1単位あたりで見ると細菌よりはるかに大きくなります。
OD600 が 1 を超えています。結果は正確ですか? おそらく正確ではありません。サンプルを直線域(多くの場合 OD < 0.8)まで希釈して測定し、得られた結果に希釈倍率を掛けてください。