二項分布の確率計算ツールとは?
このツールは、互いに独立したn回の試行のうち、ちょうどk回成功する確率を求めるものです。各試行の成功確率pはすべて同じと仮定します。コイン投げ、フリースローの成功回数、製造ラインで発生する不良品の数、アンケートの「はい/いいえ」の回答数など、こうした「成功か失敗か」の繰り返しは二項分布で表せます。ちょうどk回成功する確率に加えて、累積確率P(X≤k)・P(X≥k)、さらに分布の平均・分散・標準偏差もまとめて算出します。
使い方
試行回数n(正の整数)、注目する成功回数k(0からnまで)、そして1回あたりの成功確率p(0から1までの小数。たとえば公正なコインなら0.5)を入力します。「計算」を押すと、ちょうどk回成功する確率と、関連する統計量がまとめて表示されます。
計算式の解説
二項分布の確率質量関数は $$P(X=k) = \binom{n}{k} \, p^k \, (1-p)^{n-k}$$ です。ここで\(\binom{n}{k}\)は「n個からk個を選ぶ」組み合わせの数(二項係数)で、k回の成功がどのような並び方で起こり得るかの場合の数を表します。\(p^k\)はそのk回がすべて成功する確率、\((1-p)^{n-k}\)は残りの試行がすべて失敗する確率です。これらを掛け合わせると、その成功回数になる確率の合計が得られます。
計算例
公正なコインを10回投げて(n=10、p=0.5)、ちょうど3回表が出る(k=3)確率を考えます。\(\binom{10}{3}=120\) なので、$$P(X=3) = 120 \times 0.5^3 \times 0.5^7 = 120 \times 0.5^{10} = 120 \div 1024 \approx 0.1172$$ となります。この分布の平均は \(n \cdot p = 5\)、標準偏差は \(\sqrt{10 \cdot 0.5 \cdot 0.5} \approx 1.5811\) です。
二項確率を手計算する方法
それぞれ成功確率 \(p\) の独立した試行が \(n\) 回あるとき、ちょうど \(k\) 回の成功の確率は4つのステップで計算されます。
- 配置の数を数える(二項係数)。 \(\binom{n}{k}=\dfrac{n!}{k!\,(n-k)!}\) を計算します。これは \(n\) 回の試行のうち \(k\) 回がどれであるかを選ぶ方法の数です。たとえば \(\binom{10}{8}=45\) です。
- 成功確率を累乗する。 \(p^{k}\) を計算します — 選ばれた \(k\) 回の試行がすべて成功する確率です。
- 失敗確率を累乗する。 \((1-p)^{n-k}\) を計算します — 残りの \(n-k\) 回の試行がすべて失敗する確率です。
- 3つの因子を掛け合わせる。 \(P(X=k)=\binom{n}{k}\,p^{k}(1-p)^{n-k}\) です。
累積確率については、個々の項を合計します:\(P(X\le k)=\sum_{i=0}^{k}\binom{n}{i}p^{i}(1-p)^{n-i}\) および \(P(X\ge k)=1-P(X\le k-1)\) です。
分布の要約統計量
二項分布については、以下も報告できます:
- 平均: \(\mu = np\)
- 分散: \(\sigma^{2} = np(1-p)\)
- 標準偏差: \(\sigma = \sqrt{np(1-p)}\)
例:\(n=10,\ p=0.8\) の場合、平均は \(\mu=10\times0.8=8\) で、分散は \(\sigma^{2}=10\times0.8\times0.2=1.6\) で、標準偏差は \(\sigma=\sqrt{1.6}\approx1.265\) です。
重要な用語と変数
| 用語 | 記号 | 意味 |
|---|---|---|
| 試行の回数 | \(n\) | 独立した同一のベルヌーイ試行の固定された回数(例えば10本のフリースロー、20個のサンプル部品)。 |
| 成功の回数 | \(k\) | 確率を計算したい「成功」の正確な回数で、\(0\le k\le n\) です。 |
| 成功確率 | \(p\) | 1回の試行での成功確率で、0から1の間の値です。失敗確率は \(1-p\) です。 |
| 二項係数 | \(\binom{n}{k}\) | 「n個からk個を選ぶ」— \(n\) 回の試行のうち \(k\) 回がどれであるかを選ぶ方法の数:\(\dfrac{n!}{k!(n-k)!}\) です。 |
| 確率質量関数(PMF) | \(P(X=k)\) | ちょうど \(k\) 回の成功の確率:\(\binom{n}{k}p^{k}(1-p)^{n-k}\) です。 |
| 累積確率(下側) | \(P(X\le k)\) | \(k\) 回以下の成功の確率 — 確率質量関数を0から \(k\) まで合計したものです。 |
| 累積確率(上側) | \(P(X\ge k)\) | \(k\) 回以上の成功の確率で、\(1-P(X\le k-1)\) と等しいです。 |
| 平均(期待値) | \(\mu=np\) | \(n\) 回の試行を何度も繰り返したときの成功回数の平均です。 |
| 分散 | \(\sigma^{2}=np(1-p)\) | 成功回数が平均の周りに散らばる程度の尺度です。 |
| 標準偏差 | \(\sigma=\sqrt{np(1-p)}\) | 分散の平方根で、成功回数の数を表すのと同じ単位で表現されます。 |
よくある質問
P(X=k)とP(X≤k)はどう違いますか? P(X=k)はちょうどk回成功する確率です。一方P(X≤k)は、0回からk回までの成功確率をすべて足し合わせた累積確率です。
pが1を超えてもよいですか? いいえ。確率は必ず0から1の間でなければなりません。範囲外の値は0〜1に丸められます。
各試行は独立している必要がありますか? はい。二項分布のモデルでは、試行回数が一定で、各試行が独立しており、成功確率が常に一定であることを前提としています。