この計算機でできること
このツールは、指定した範囲のxについて双曲線正弦積分 Shi(x) と双曲線余弦積分 Chi(x) の値を表に計算し、両者の曲線を1つのグラフに描画します。これらは三角関数の正弦積分 Si(x)・余弦積分 Ci(x) に対応する双曲線版で、熱伝導や信号解析、特殊関数の漸近展開などで登場します。
使い方
次の3つの数値を入力します。表の先頭行となるxの初期値、行ごとの増分(刻み幅)、生成する繰り返し回数(行数)です。表は \(x_i = \text{初期値} + i\cdot\text{刻み幅}\)(i = 0 から 行数−1 まで)で計算されます。たとえば初期値0、刻み幅0.5、回数3とすると、x = 0、0.5、1.0 の3行が出力されます。
計算式の解説
定義より \(\operatorname{Shi}(x) = \int_0^x \frac{\sinh t}{t}\,dt\)、\(\operatorname{Chi}(x) = \gamma + \ln|x| + \int_0^x \frac{\cosh t - 1}{t}\,dt\) です。ここで \(\gamma \approx 0.5772156649\) はオイラー・マスケローニ定数です。この計算機では、同値で収束の速いべき級数 $$\operatorname{Shi}(x) = \sum_{k=0}^{\infty} \frac{x^{2k+1}}{(2k+1)\,(2k+1)!} \qquad \operatorname{Chi}(x) = \gamma + \ln x + \sum_{k=1}^{\infty} \frac{x^{2k}}{(2k)\,(2k)!}$$ を用います。各項は比を用いた漸化的な更新で積み上げ、階乗のオーバーフローを避けつつ、項が無視できる大きさになった時点で打ち切ります。
計算例
x = 1 のとき:$$\operatorname{Shi}(1) = 1 + \tfrac{1}{18} + \tfrac{1}{600} + \tfrac{1}{35280} + \cdots \approx 1.0572509$$ $$\operatorname{Chi}(1) = 0.5772157 + \ln 1 + \tfrac{1}{4} + \tfrac{1}{96} + \tfrac{1}{4320} + \cdots \approx 0.8378695$$
よくある質問
Chi(0) が「定義されない」と表示されるのはなぜ? Chi(x) は ln x を含み、\(x \to 0\) のとき \(-\infty\) に発散します。そのためゼロでは有限値になりません。
xが負の場合は? Shi は奇関数なので \(\operatorname{Shi}(-x) = -\operatorname{Shi}(x)\) となり、通常どおり計算できます。一方 Chi(x) が実数になるのは \(x > 0\) のときだけで(\(x < 0\) では虚部 \(-i\pi\) が加わります)、表では \(x \le 0\) のとき Chi を「定義されない」と表示します。
精度はどの程度? |x| が中程度(おおむね10まで)であれば、級数は倍精度の全桁を再現します。反復は約20〜40項で収束します。