パレート分布計算ツールとは
このツールはパレート分布(第I種)を計算します。パレート分布は裾の重い(ヘビーテール)べき乗則型の代表的な分布で、富の偏在、都市の規模、ファイルサイズ、いわゆる「80対20の法則(パレートの法則)」などのモデル化に用いられます。尺度パラメータ \(x_m\)(最小値)と形状パラメータ \(\alpha\) を与えると、任意の点 \(x\) における確率密度 \(f\)、下側累積確率(CDF)\(P\)、上側累積確率(生存関数)\(Q\) を計算します。地域や制度に依存しない純粋な数学・統計の計算ツールです。
使い方
まず計算したい関数(確率密度・下側累積確率・上側累積確率)を選びます。次に尺度パラメータ \(x_m\)(0より大きい値)、形状パラメータ \(\alpha\)(0より大きい値)、点 \(x\)(xの初期値)を入力します。任意項目の「増分」と「繰り返し回数」を指定すると、グラフ描画用に複数のx点を生成できます。各点は \(x_i = \text{初期値} + i \times \text{増分}\)(\(i = 0 \sim \text{繰り返し回数}-1\))で求められます。
計算式の解説
\(x \ge x_m > 0\) かつ \(\alpha > 0\) のとき、次の式が成り立ちます。
確率密度:$$f(x) = \frac{\alpha\;x_m^{\alpha}}{x^{\,\alpha+1}} \quad (x \ge x_m)$$下側累積確率(CDF):$$P(x) = 1 - \left(\frac{x_m}{x}\right)^{\alpha} \quad (x \ge x_m)$$上側累積確率(生存関数):$$Q(x) = \left(\frac{x_m}{x}\right)^{\alpha} \quad (x \ge x_m)$$常に \(P + Q = 1\) が成り立ちます。なお \(x < x_m\) の範囲は分布の台(サポート)に含まれないため、\(f = 0\)、\(P = 0\)、\(Q = 1\) となります。
計算例
\(x_m = 1\)、\(\alpha = 1\)、\(x = 2\) のとき、$$f = \frac{1 \cdot 1}{2^{2}} = 0.25$$ $$P = 1 - \left(\frac{1}{2}\right)^{1} = 0.5$$ $$Q = \left(\frac{1}{2}\right)^{1} = 0.5$$となります。検算:\(P + Q = 1.0\)。次に \(x_m = 2\)、\(\alpha = 3\)、\(x = 4\) のとき、$$f = \frac{3 \cdot 8}{256} = 0.09375$$ $$P = 1 - 0.125 = 0.875$$ $$Q = 0.125$$となります。
よくある質問
形状パラメータ \(\alpha\) は何を決めるのですか? \(\alpha\) が大きいほど裾の減衰が速く(裾が軽く)なります。なお平均が有限になるのは \(\alpha > 1\) のときだけです。
\(x_m\) より小さい範囲で確率密度が0になるのはなぜですか? パレート分布の台は \(x \ge x_m\) の範囲に限られるため、尺度パラメータより小さい領域には確率が存在しないからです。
生存関数とは何ですか? \(Q(x)\) は確率変数が \(x\) を超える確率、すなわち累積分布関数の補数(\(1 - P(x)\))にあたり、上側累積確率とも呼ばれます。