時間の遅れとは
時間の遅れ(タイム・ダイレーション)は、アインシュタインの特殊相対性理論が予言する現象です。観測者に対して運動している時計は、観測者自身の時計よりもゆっくり進みます。相対速度が大きいほど、その効果も大きくなります。この計算は純粋な物理法則にもとづくもので、国や地域による違いはなく、宇宙のどこでも普遍的に成り立ちます。
計算機の使い方
物体の固有時間T0(運動している物体自身の静止系で経過する時間。単位は秒)と、相対速度vを入力してください。速度の単位は km/s、m/s、km/h、mph、または光速に対する割合から選べます。本ツールは入力された \(v\) を km/s に換算し、一定値である光速 \(c = 299{,}792.458\ \text{km/s}\) と比較したうえで、静止した観測者から見た遅れた時間 \(T\) を計算します。あわせて、光速に対する \(v\) の割合(%)とローレンツ因子γも表示します。
計算式の解説
用いる式は $$T = \dfrac{T_0}{\sqrt{1 - \dfrac{v^2}{c^2}}}$$ です。分母の \(\sqrt{1 - v^2/c^2}\) は、ローレンツ因子 \(\gamma = \dfrac{1}{\sqrt{1 - (v/c)^2}}\) の逆数にあたります。\(v\) が \(c\) に比べて十分小さいとき、\(\gamma\) はほぼ 1 となり \(T\) は \(T_0\) と等しくなります。つまり、観測可能なほどの時間の遅れは生じません。一方、\(v\) が \(c\) に近づくにつれて \(v^2/c^2\) は 1 に近づき、分母は 0 へと向かうため、\(T\) は限りなく大きくなります。
計算例
\(T_0 = 1\) 秒、\(v = 200{,}000\ \text{km/s}\) としてみましょう。このとき $$v/c = \frac{200000}{299792.458} = 0.667133$$ となり、\(v/c = 66.7133\%\) です。これを2乗すると \((v/c)^2 = 0.445066\) なので、\(1 - 0.445066 = 0.554934\) となり、\(\sqrt{0.554934} = 0.744939\) です。したがって $$T = \frac{1}{0.744939} = 1.342393\ \text{秒}$$ 静止した観測者にとって、運動する物体の「1秒間」は約 1.34 秒として観測されます。
よくある質問
\(v = c\) のときはどうなりますか? 分母が 0 になるため、\(T\) は無限大となります。つまり運動する時計は止まって見えます。なお、質量をもつ物体は実際に光速 \(c\) に到達することはできません。
\(v\) は \(c\) より大きくできますか? いいえ。光速を超える速度では \(1 - v^2/c^2\) が負になり、平方根が虚数となってしまいます。物理的に成り立たないため、本計算機ではエラーとして扱います。
\(v = 0\) のときは? このとき \(\gamma = 1\) となり \(T = T_0\) です。すなわち時間の遅れは生じません。