フォン・ミーゼス分布とは
フォン・ミーゼス分布は、正規分布(ガウス分布)を円周上に対応させた確率分布です。円周上の角度や方向を表すのに用いられ、平均方向μと集中度パラメータκによって形が決まります。κが大きいほどμ付近に鋭く集中し、κ=0のときは円周上の一様分布になります。この計算ツールは特定の国や制度に依存しない普遍的な数学ツールであり、角度はすべてラジアンで扱います。
使い方
まず求めたい量を選びます。確率密度f、下側累積確率P(累積分布関数CDF)、または上側累積確率Q=1−Pのいずれかです。次に平均方向μ(ラジアン)、集中度κ(0以上)、評価する角度x(ラジアン)を入力します。「計算」を押すと3つの値がすべて表示され、選択した量がハイライトされます。
計算式の解説
確率密度関数は $$f(\text{x};\ \mu,\ \kappa) = \frac{e^{\kappa\cos\left(\text{x} - \mu\right)}}{2\pi\, I_{0}\!\left(\kappa\right)}$$ で表されます。ここで\(I_{0}(\kappa)\)は0次の第1種変形ベッセル関数で、収束級数 $$I_{0}(\kappa) = \sum \frac{(\kappa/2)^{2m}}{(m!)^{2}}$$ から計算します。累積確率\(P(\text{x})\)は、\(\mu - \pi\)から\(\text{x}\)まで\(f\)を積分した値です。本ツールでは \(z = \text{x} - \mu\) を区間\([-\pi, \pi]\)に折り込んだうえで、2000分割のシンプソン法により求めています。したがって\(P\)は \(z = -\pi\) で0、\(z = +\pi\) で1の範囲をとります。\(Q\)は単純に \(1 - P\) です。
計算例
\(\mu = 0\)、\(\kappa = 1\)、\(\text{x} = 0\) の場合を考えます。このとき \(I_{0}(1) \approx 1.2660658778\)、\(\cos(0) = 1\) なので \(e^{1} = 2.71828\) となります。確率密度は $$f = \frac{2.71828}{2\pi \cdot 1.26607} \approx 0.3417$$ (1ラジアンあたり)です。\(f\)は \(\mu = 0\) を中心に左右対称なので、ちょうど半分の確率が \(\text{x} = 0\) より下側に存在し、\(P(0) = 0.5\)、\(Q(0) = 0.5\) となります。
よくある質問
確率密度の単位は何ですか? 確率密度関数(PDF)は1/ラジアンの単位を持ちます。これは2πラジアンの円周全体で積分すると1になるためです。
κ=0のときはどうなりますか? 分布は円周上の一様分布になります。すべての\(\text{x}\)について \(f(\text{x}) = \frac{1}{2\pi} \approx 0.159155\) となり、\(P(\text{x})\)は直線的に増加します。
xに[μ−π, μ+π]の範囲外の値を入れてもよいですか? 問題ありません。確率密度はxについて周期2πを持ち、累積分布関数は積分前に \(z = \text{x} - \mu\) を\([-\pi, \pi]\)に折り込んで計算します。