この計算ツールでできること
このツールは、独立した2つの母集団の平均の差 \(\mu_1 - \mu_2\) について信頼区間を推定します。採用しているのはWelch(プールしない)の2標本t法で、2つの群の分散が等しいとは仮定しません。そのため、実際のデータの多くで最も安心して使えるデフォルトの手法と言えます。
使い方
2つの群それぞれについて、標本平均・標本標準偏差・標本サイズを入力し、信頼水準(90%・95%・99%)を選びます。すると、点推定値(\(\bar{x}_1 - \bar{x}_2\))、誤差の範囲(マージン)、標準誤差、t臨界値、Welchの自由度、そして区間の下限・上限が表示されます。
計算式の解説
信頼区間の中心は、2つの標本平均の差です。区間の半幅(誤差の範囲)は、t臨界値に標準誤差を掛けた値で、標準誤差は両群を合わせて次で求めます。
$$\text{SE} = \sqrt{\dfrac{s_1^{2}}{n_1} + \dfrac{s_2^{2}}{n_2}}$$自由度はWelch–Satterthwaiteの近似で算出し、t臨界値は選んだ両側信頼水準に対応する値を用います。区間が広いほど不確かさが大きいことを表し、標本サイズが大きく標準偏差が小さいほど区間は狭くなります。
$$(\bar{x}_1 - \bar{x}_2) \pm t_{\alpha/2,\,df} \cdot \sqrt{\dfrac{s_1^{2}}{n_1} + \dfrac{s_2^{2}}{n_2}}$$
計算例
群1が \(\bar{x}_1 = 10\)、\(s_1 = 2.5\)、\(n_1 = 30\)、群2が \(\bar{x}_2 = 8\)、\(s_2 = 3.0\)、\(n_2 = 30\) で、信頼水準95%とします。平均の差は2です。
$$\text{SE} = \sqrt{\dfrac{6.25}{30} + \dfrac{9}{30}} = \sqrt{0.5083} \approx 0.7130$$Welchの自由度は約56.2となり、\(t \approx 2.003\) が得られます。誤差の範囲は約1.428なので、95%信頼区間はおよそ 0.572 〜 3.428 になります。この区間が0を含まないため、有意水準5%で2つの平均には有意な差があると言えます。
よくある質問
プールした分散とプールしない分散、どちらを使うべき? このツールはプールしない(Welchの)方法を採用しています。2つの母分散が等しいと確信できる場合を除き、こちらが推奨されます。
区間が0を含む場合はどういう意味? 0が区間の内側にある場合、そのデータはその信頼水準において「2つの平均に本当の差はない」という結果と矛盾しません。
なぜt値が数表とぴったり一致しないの? 臨界値は高精度の数値近似で計算しているためです。一般的なt分布表とは小数点以下数桁まで一致します。