ラプラス分布とは
ラプラス分布は「両側指数分布」とも呼ばれ、中心に対して左右対称な連続確率分布です。2つの指数分布を背中合わせに張り合わせたような形をしており、位置母数の点で鋭いピーク(尖り)を持ち、正規分布よりも裾が重い(ファットテール)のが特徴です。信号処理、ロバスト回帰(最小絶対偏差法)、ベイズ推定(LASSO の事前分布)、金融分野での裾の厚いリターンのモデル化など、幅広く利用されています。これは国や地域を問わず、どこでも同じように使える普遍的な数学ツールです。
このツールの使い方
次の3つの数値を入力します。x は確率変数の値、位置母数 μ は分布の中心(平均かつ中央値)を定める値、そして尺度母数 b は必ず正の値で、ばらつきの大きさを表します。本ツールは確率密度 \(f(x)\)、下側累積確率 \(P(X \leq x)\)、上側累積確率 \(P(X > x)\) を出力します。2つの累積確率の合計は常にちょうど 1 になります。
計算式の解説
確率密度は次式で与えられます。
$$f(x) = \frac{1}{2\,b}\exp\!\left(-\frac{\left|x - \mu\right|}{b}\right)$$累積分布関数は区分的に定義され、\(x < \mu\) のとき \(F(x) = 0.5\cdot\exp((x - \mu)/b)\)、\(x \geq \mu\) のとき \(F(x) = 1 - 0.5\cdot\exp(-(x - \mu)/b)\) となります。
$$F(x) = \begin{cases} \dfrac{1}{2}\exp\!\left(\dfrac{x - \mu}{b}\right) & \text{if } x < \mu \\[1em] 1 - \dfrac{1}{2}\exp\!\left(-\dfrac{x - \mu}{b}\right) & \text{if } x \geq \mu \end{cases}$$絶対偏差を用いることで指数部が常に 0 以下に保たれるため、\(\exp()\) がオーバーフローすることはありません。平均は \(\mu\) に等しく、分散は \(2b^2\) となります。
計算例
\(x = 1\)、\(\mu = 0\)、\(b = 1\) とします。偏差は \(d = 1\) です。確率密度は
$$f(1) = 0.5\cdot\exp(-1) = 0.18394$$\(x \geq \mu\) なので、\(F(1) = 1 - 0.5\cdot\exp(-1) = 0.81606\) となり、上側確率は \(1 - 0.81606 = 0.18394\) です。
よくある質問
なぜ b は正でなければならないのですか? 尺度母数 \(b\) は分母および指数関数の内部に現れます。\(b \leq 0\) の場合、確率密度が定義できなくなるため、本ツールでは入力値を検証しています。
x = μ のときはどうなりますか? 確率密度はピーク値 \(1/(2b)\) に達し、下側・上側の累積確率はともに 0.5 になります。この点では関数が尖っており、微分不可能です。
この分布は対称ですか? はい。任意の \(t\) について \(f(\mu + t) = f(\mu - t)\)、また \(F(\mu + t) = 1 - F(\mu - t)\) が成り立ちます。