この計算ツールでできること
1標本z検定は、標本の平均値が既知(または仮定した)母平均と統計的に有意な差を持つかどうかを調べる手法です。母標準偏差(σ)が分かっている場合に適した検定で、標本標準偏差しか分からないときに用いるt検定とは使い分けます。本ツールでは、検定統計量z、標準誤差、指定した有意水準における臨界値z、p値を算出し、その差が統計的に有意かどうかをわかりやすく判定して表示します。
使い方
まず有意水準αをパーセントで入力します(5と入力すれば0.05を意味します)。次に検定の種類として、標本平均が母平均より大きい場合も小さい場合も検出したい「両側検定」か、片方向のみを問題にする「片側検定」かを選びます。続いて、仮定する母平均(\(\mu_0\))、既知の母標準偏差(\(\sigma\))、観測された標本平均(\(\bar{x}\))、標本サイズ(\(n\))を入力し、計算ボタンを押すと結果が表示されます。
計算式の解説
標準誤差は次式で求めます。
$$\text{SE} = \sigma / \sqrt{n}$$検定統計量は次のとおりです。
$$z = \frac{\bar{x} - \mu_0}{\text{SE}}$$臨界値は標準正規分布の逆累積分布関数から得られ、両側検定では \(z_{\text{crit}} = \Phi^{-1}(1 - \alpha/2)\)、片側検定では \(z_{\text{crit}} = \Phi^{-1}(1 - \alpha)\) となります。p値は、両側検定なら \(2(1 - \Phi(|z|))\)、片側検定なら \(1 - \Phi(|z|)\) で計算されます(\(\Phi\)は標準正規分布の累積分布関数)。\(|z|\) が \(z_{\text{crit}}\) を超えるとき、すなわち \(p\) が \(\alpha\) を下回るとき、その差は有意と判定され、帰無仮説 \(H_0: \bar{x} = \mu_0\) を棄却します。
計算例
\(\mu_0 = 58\)、\(\sigma = 4.5\)、\(\bar{x} = 60\)、\(n = 25\) とし、有意水準 \(\alpha = 5\%\) の両側検定を行う場合を考えます。標準誤差は
$$\text{SE} = 4.5 / \sqrt{25} = 0.9$$検定統計量は
$$z = \frac{60 - 58}{0.9} = 2.2222$$となります。両側検定の臨界値は \(\Phi^{-1}(0.975) = 1.95996\) です。\(2.2222 > 1.95996\) なので、この差は有意です。p値は \(2(1 - \Phi(2.2222)) = 0.0263\) で、0.05 を下回っているため、この結論が裏付けられます。
よくある質問
t検定を使うべきなのはどんなとき? 母標準偏差\(\sigma\)が不明で、標本標準偏差しか分からない場合(特に標本サイズが小さい場合)はt検定を使います。t検定は自由度 \(n-1\) のスチューデントのt分布を用います。
p値は何を意味するの? p値は、帰無仮説\(H_0\)が正しいと仮定したときに、観測されたものと同等かそれ以上に極端な差が生じる確率です。p値が小さい(\(\alpha\)を下回る)ほど、その差が偶然による可能性が低いことを示します。
両側検定と片側検定はどう選ぶ? 事前に片方向のみを検証する強い理由がない限り、両側検定を選ぶのが基本です。片側検定は検出力が高い一方で、選んだ方向の差しか検出できません。