PERCルールとは?
PERC(Pulmonary Embolism Rule-out Criteria:肺塞栓症除外基準)は、臨床的にあらかじめ検査前確率が低いと判断された肺塞栓症(PE)疑い患者に用いる臨床判断ツールです。低リスク患者が8項目すべてを満たせば、Dダイマー測定やCT肺動脈造影といった追加検査を行わずに安全にPEを除外でき、不要な被ばく・コスト・偽陽性を避けることができます。
8つの基準
各項目は次の条件を満たすときに陰性(良好)と判定されます。年齢50歳未満、心拍数100bpm未満、室内気でのSpO2が95%以上、喀血がない、エストロゲン使用(経口避妊薬またはホルモン補充療法)がない、DVT・PEの既往がない、過去4週間以内に入院を要する手術や外傷がない、片側性の下肢腫脹がない。ルールを満たすには8項目すべてが陰性である必要があります。
$$\text{PERC failed} = \sum \left[ \begin{gathered} \text{Age} \geq 50 \;+\; \text{HR} \geq 100 \;+\; \text{SpO}_2 < 95 \\[0.4em] +\; \text{Hemoptysis} \;+\; \text{Estrogen} \;+\; \text{Prior VTE} \\[0.4em] +\; \text{Surgery/Trauma} \;+\; \text{Leg swelling} \end{gathered} \right]$$
使い方
患者の年齢・心拍数・室内気SpO2を入力し、5つのはい/いいえの質問に答えてください。計算ツールが陽性となった項目数を数えます。陽性が0項目ならPERC陰性となり、PEは除外されます。1項目以上が陽性ならPERC陽性となり、本ルールではPEを除外できないため、追加の精査を検討する必要があります。
計算例
42歳、心拍数78、SpO2 98%、危険因子なしの患者の場合、8項目すべてが陰性となるため、結果はPERC陰性となり、PEは除外されます。一方、同じ患者が55歳で心拍数105だった場合、\(2\) 項目が陽性となり、結果はPERC陽性になります。
よくある質問
PERCでPEを診断できますか? いいえ。PERCは低リスク患者でPEを除外するためのものであり、診断を確定することはできません。
高リスク患者にPERCを使えますか? いいえ。PERCは臨床的に検査前確率が低いと評価された患者(gestaltやWellsスコア低リスクなど)でのみ妥当性が確認されています。
1項目でも陽性だったらどうすればよいですか? ルールは成立しません。臨床的に適切と判断されれば、Dダイマー測定や画像検査へ進んでください。本ツールは教育目的のものであり、臨床判断に代わるものではありません。