行列のトレース(跡)とは?
正方行列のトレース(跡)とは、主対角成分の和のことです。主対角成分とは、左上から右下に向かって並ぶ要素を指します。記号では tr(A) と書きます。トレースは正方行列(行数と列数が等しい行列)に対してのみ定義され、線形代数において行列を1つの数で表す要約値として、とても役立つ指標のひとつです。
この計算機の使い方
まず行列のサイズ(2×2・3×3・4×4)を選び、主対角成分 \(A_{11}\)、\(A_{22}\)、… だけを入力します。トレースは対角成分だけで決まるため、対角以外の値は結果に影響せず、入力する必要はありません。入力するとすぐに合計が表示されます。
公式の解説
n×n 行列 A に対して、トレースは次のように表されます。
$$\operatorname{tr}(A) = \text{A}_{11} + \text{A}_{22} + \dots + \text{A}_{nn} = \sum_i \text{A}_{ii}$$
対角に沿って順番に成分をたどり、それぞれを足し合わせるだけです。結果は1つのスカラー(数値)になります。
計算例
対角成分が 4、−2、7 である 3×3 行列を考えてみましょう(対角以外の値は何でも構いません)。このとき $$\operatorname{tr}(A) = 4 + (-2) + 7 = 9$$ となります。これで完了です。ほかの成分がどんな値であっても、トレースは 9 です。
よくある質問
正方行列でなくてもトレースは計算できますか? いいえ。対角成分 \(A_{ii}\) は行数と列数が等しいことを前提とするため、トレースは正方行列に対してのみ定義されます。
トレースは何の役に立つのですか? トレースは行列の固有値の総和に等しく、相似変換に対して不変です。統計学・物理学・機械学習など、幅広い分野で登場します。
\(\operatorname{tr}(A + B) = \operatorname{tr}(A) + \operatorname{tr}(B)\) は成り立ちますか? はい。トレースは線形性を持つため、和のトレースは各トレースの和に等しくなります。また、任意のスカラー c に対して \(\operatorname{tr}(cA) = c \cdot \operatorname{tr}(A)\) も成り立ちます。