非心カイ2乗分布とは
非心カイ2乗分布は、通常の(中心)カイ2乗分布に非心度パラメータ \(\lambda\) を加えて一般化した分布です。平均が 0 でない独立な正規確率変数の二乗和の分布を表し、検定の検出力分析(パワー分析)、信号検出、仮説検定など幅広い分野で用いられます。本計算はあくまで純粋な数学に基づくもので、特定の国・地域に依存するルールはなく、どこでも同じように利用できます。
使い方
まず出力したい量を選びます。確率密度 \(f\)、下側累積確率 \(P\)、上側累積確率 \(Q\) のいずれかです。続いて自由度 \(\nu\)(0 より大きい値)、非心度 \(\lambda\)(0 以上の値)、基準となる \(x\) の値を入力します。さらに \(x\) の初期値、刻み幅、繰り返し回数(行数)を設定すると、指定した範囲にわたって(\(x\), 計算値)の表を一括で生成できます。
計算式の解説
非心カイ2乗分布は、ポアソン分布 Poisson(\(\lambda/2\)) を重みとした中心カイ2乗分布の混合分布として表せます。第 \(j\) 項の重みは \(w_j = e^{-\lambda/2}(\lambda/2)^j / j!\) です。確率密度は、自由度 \(\nu+2j\) の中心カイ2乗分布の密度に重み \(w_j\) を掛けて総和をとった $$f(x;\nu,\lambda)=\sum_{j=0}^{\infty}\frac{e^{-\lambda/2}\left(\lambda/2\right)^{j}}{j!}\,\frac{x^{\,k/2-1}e^{-x/2}}{2^{k/2}\,\Gamma\!\left(k/2\right)}\quad\text{where}\;\; k=\nu+2j,\;\; \lambda=\lambda$$ となります。下側累積確率は、同じ混合を中心カイ2乗分布の累積分布関数(CDF)に適用したもので、正規化された下側不完全ガンマ関数を用いて計算されます。 $$F(x;\nu,\lambda)=\sum_{j=0}^{\infty}\frac{e^{-\lambda/2}\left(\lambda/2\right)^{j}}{j!}\,P\!\left(\frac{\nu+2j}{2},\;\frac{x}{2}\right)\quad\text{where}\;\; \lambda=\lambda$$ 上側累積確率は単純に \(Q = 1 - P\) です。
計算例
\(\nu = 3\)、\(\lambda = 1\)、\(x = 2\) の場合を見てみましょう。Poisson(0.5) の重みは \(0.6065\)、\(0.3033\)、\(0.0758\)、\(0.0126\)、\(0.0016\) となります。\(x=2\) における自由度 3、5、7、9、11 の中心カイ2乗分布の CDF はそれぞれ \(0.4276\)、\(0.1511\)、\(0.0387\)、\(0.0074\)、\(0.0011\) です。これらの重み付き総和より \(P \approx 0.3082\)、したがって \(Q \approx 0.6918\) が得られます。同じ点での確率密度 \(f\) は約 \(0.173\) です。
よくある質問
\(\lambda = 0\) のときはどうなりますか? 重み 1 をもつ \(j=0\) の項だけが残るため、分布は自由度 \(\nu\) の中心カイ2乗分布そのものに一致します。
\(\nu\) は整数でなくてもよいですか? はい。ガンマ関数は 0 より大きい任意の \(\nu\) を扱えるため、小数(非整数)の自由度も有効です。
なぜ \(x = 0\) で密度が 0 になるのですか? \(\nu\) が 2 以上のとき原点での密度は 0 になります。\(\nu\) が 2 未満の場合は発散しますが、本計算では実用上の取り扱いとして \(x = 0\) では 0 を返します。