逆カイ2乗分布とは
自由度ν(ニュー)の逆カイ2乗分布とは、自由度νの標準的なカイ2乗分布に従う確率変数 X の逆数 \(Y = 1/X\) が従う分布のことです。ベイズ統計では正規分布の分散に対する共役事前分布としてよく用いられるほか、信頼性工学や信号処理のモデルにも登場します。この計算は純粋な数学であり、地域や国による違いはなく、どこでも同じ結果が得られます。
この計算ツールの使い方
パーセント点 x(任意の正の実数)と 自由度 ν(任意の正の値、通常は正の整数)を入力してください。本ツールは次の3つの値を返します。確率密度 \(f(x)\)、下側累積確率 \(P = P(X \le x)\)、そして上側累積確率 \(Q = P(X > x)\) です。P と Q は分布全体を表すため、両者の合計は必ず 1 になります。
計算式の解説
確率密度は \(x > 0\) において $$f(x) = \frac{2^{-\nu/2}}{\Gamma\!\left(\frac{\nu}{2}\right)}\, x^{-\frac{\nu}{2}-1}\, e^{-\frac{1}{2x}}$$ で与えられます。数値計算の安定性を高めるため、対数ガンマ関数を用いて対数空間で計算しています。累積確率はカイ2乗分布との逆数関係を利用します。\(s = \nu/2\)、\(z = 1/(2x)\) とおくと、下側累積確率は正則化された上側不完全ガンマ関数 \(Q(s, z)\) に等しく、上側累積確率は正則化された下側不完全ガンマ関数 \(P(s, z)\) に等しくなります。これらは、z が小さいときは級数展開で、z が大きいときは連分数展開(レンツ法)で評価しています。
計算例
\(x = 1\)、\(\nu = 1\) の場合を考えます。このとき \(s = 0.5\)、\(z = 0.5\) となります。確率密度は \(f(1) \approx 0.241971\) と求められます。下側累積確率は \(P \approx 0.317311\)、上側累積確率は \(Q \approx 0.682689\) となり、両者の合計はきちんと 1 になります。
よくある質問
なぜ x は 0 より大きくなければならないのですか? この分布の台(とりうる値の範囲)は \(x > 0\) だからです。\(x \le 0\) では確率密度は 0 となり、すべての確率は \(x > 0\) の側にあります。そのため下側確率は 0、上側確率は 1 になります。
ν は整数でなければなりませんか? いいえ。計算式にはガンマ関数を用いているため、0 より大きい任意の実数 ν を指定できます。ただし、自由度は正の整数であることが最も一般的です。
これはスケール付き逆カイ2乗分布ですか? いいえ。これは標準的な(スケールなしの)逆カイ2乗分布であり、カイ2乗確率変数の逆数に対応します。