この計算ツールでできること
このツールは、対数正規分布のパーセント点(分位点)を求めます。累積確率と分布のパラメータを入力すると、対数正規分布の累積分布関数(CDF)がその確率に達する値xを返します。これはCDFの逆関数であり、分位関数(クォンタイル関数)とも呼ばれます。対数正規分布は、所得、粒子径、株価、機器の寿命、生体内濃度など、正の値をとり右に裾を引く(右に歪んだ)量を表すのに広く使われます。これは普遍的な数学ツールであり、国や地域を問わず同じように利用できます。
使い方
まず、入力する確率が下側確率 \(P(X \le x)\) なのか、上側確率 \(P(X > x)\) なのかを選びます。次に確率(0より大きく1より小さい値)を入力します。続いて、ln(X) が従う正規分布の2つのパラメータを入力します。位置パラメータ \(\mu\)(ln X の平均)と、尺度パラメータ \(\sigma\)(ln X の標準偏差。正の値であること)です。計算ボタンを押すと、パーセント点xが得られます。
計算式の解説
変数Xは、ln(X) が平均 \(\mu\)・標準偏差 \(\sigma\) の正規分布に従うとき、対数正規分布に従います。その下側累積分布関数は $$P(x) = \Phi\!\left(\frac{\ln x - \mu}{\sigma}\right)$$ で表されます(\(\Phi\) は標準正規分布のCDF)。これを逆に解くと $$x = \exp\!\left(\mu + \sigma \cdot \Phi^{-1}(p)\right)$$ となります。上側確率Qを与えた場合は、まず \(p = 1 - Q\) に変換してから計算します。標準正規分布の分位点 \(\Phi^{-1}\) は、Acklam の有理近似(精度はおよそ 1e-9)で評価しています。なお \(\mu\) と \(\sigma\) が表すのは ln X の平均・標準偏差であって、X そのものではありません。X の平均は \(\exp(\mu + \sigma^2/2)\) になります。
計算例
下側モードを選び、確率 = 0.975、\(\mu = 0\)、\(\sigma = 1\) とします。このとき \(p = 0.975\) で、\(\Phi^{-1}(0.975) = 1.959964\)(おなじみの臨界値 1.96)です。したがって $$x = \exp(0 + 1 \times 1.959964) = 7.0994$$ となります。標準対数正規分布の97.5パーセンタイルは約7.099です。
よくある質問
上側モードを使うとどうなりますか? 上側モードで \(Q = 0.025\) を入力すると \(p = 1 - 0.025 = 0.975\) となり、上の計算例と同じ \(x \approx 7.099\) が得られます。
中央値はどうなりますか? \(p = 0.5\) のとき \(\Phi^{-1}(0.5) = 0\) なので \(x = \exp(\mu)\) です。対数正規分布の中央値は \(\sigma\) の値に関わらず \(\exp(\mu)\) になります。
なぜ \(0 < p < 1\) が必要なのですか? p が0に近づくとパーセント点は0に近づき、1に近づくと無限大に発散するため、端点(0と1)は受け付けません。指数関数で計算するため、結果は常に正の値になります。