ターミナルバリューとは?
ターミナルバリュー(TV/継続価値)とは、明示的な予測期間を超えた先で、キャッシュフローが安定的かつ永続的な成長率で伸び続けると仮定したときの、事業や投資の価値を指します。DCF(割引キャッシュフロー)モデルでは、ターミナルバリューが企業価値全体の60〜80%を占めることも珍しくなく、その精度がバリュエーション全体を大きく左右します。本ツールは、業界標準の2つの手法——永久成長率(ゴードン成長)モデルと出口倍率法(エグジットマルチプル法)——に対応しています。
このツールの使い方
まず手法を選びます。永久成長率を使う場合は、予測最終年度のフリーキャッシュフロー(FCF)、長期成長率 \(g\)、そして加重平均資本コスト(WACC)を入力してください。出口倍率法では、最終年度のEBITDAと、買い手が支払うと見込まれる倍率(例:EV/EBITDA 8倍)を入力します。算出されるのは予測期間末時点の「割り引く前」のターミナルバリューです。DCFに組み込む際は、現在価値まで割り戻すことを忘れないでください。
計算式の解説
永久成長率モデルの式は $$\text{TV} = \frac{\text{FCF}\left(1 + \text{g}\right)}{\text{WACC} - \text{g}}$$ です。予測期間以降のキャッシュフローを、永遠に率 \(g\) で成長し続ける永久年金(パーペチュイティ)とみなします。分母の(WACC − g)は必ず正でなければならないため、\(g\) は割引率を下回る必要があり、通常は長期GDP成長率やインフレ率に近い水準(2〜3%)に設定します。出口倍率法の式はシンプルに $$\text{TV} = \text{EBITDA} \times \text{Exit Multiple}$$ で、類似企業の現在の市場評価を基準に価値を見積もります。
計算例
最終年度のFCFが100、\(g\) が2.5%、WACCが9%だとします。このとき $$\text{TV} = \frac{100 \times (1.025)}{0.09 - 0.025} = \frac{102.5}{0.065} = 1{,}576.92$$ となります。一方、出口倍率法でEBITDAを150、倍率を8倍とすると、$$\text{TV} = 150 \times 8 = 1{,}200$$ です。
よくある質問
どちらの手法を使うべき? 多くのアナリストは両方を計算し、結果を突き合わせて妥当な範囲を絞り込みます。永久成長率モデルは理論ベース、出口倍率法は市場ベースのアプローチです。
WACCとgが等しい場合は? 永久成長率の式は成立しません(ゼロ除算になります)。\(g\) をWACCより低く設定して、現実的な結果が得られるようにしてください。
この値はすでに割り引かれている? いいえ。出力値は予測期間末時点の金額です。\((1+\text{WACC})^n\) で割って現在価値に換算してください。