混成対数正規分布とは
混成対数正規分布は HybLogN(\(\rho x, \mu, \sigma\)) と表記され、変換後の変数 \(y(x) = \rho x + \ln(\rho x)\) が平均 \(\mu\)、標準偏差 \(\sigma\) の正規分布に従う確率分布です。正規分布の項(\(\rho x\))と対数正規分布の項(\(\ln(\rho x)\))を組み合わせた形になっているのが特徴です。強度パラメータ \(\rho > 0\) は元の変数のスケールを表します。対数を含むため、この分布は \(x > 0\) の範囲でのみ定義されます。これは純粋数学における普遍的な定義であり、国や地域を問わず同じように成り立ちます。
この計算ツールの使い方
まず、表にする関数として確率密度 f、下側累積確率 P、上側累積確率 Q のいずれかを選びます。次に、強度パラメータ \(\rho\)、平均 \(\mu\)、標準偏差 \(\sigma\) を入力します。さらに、x の初期値、刻み幅、行数を指定してください。ツールは選択した関数を x = x0、x0+刻み幅、x0+2·刻み幅、… の各点で評価し、すべての (x, 値) の組を一覧表示するとともに、中央値 xc も求めます。
計算式の解説
\(y(x) = \rho x + \ln(\rho x)\)、\(z = (y(x) - \mu) / \sigma\) とおきます。確率密度は $$f(x) = \frac{\rho}{\sqrt{2\pi}\,\sigma}\left(1 + \frac{1}{\rho x}\right) e^{-\frac{1}{2} z^{2}}$$ で与えられます。係数 \((1 + 1/(\rho x))\) は、ヤコビアン \(dy/dx\) を \(\rho\) で割ったものです。y は x に対して単調増加し、\(-\infty\) から \(+\infty\) まで動くため、下側累積確率は単純に \(P(x) = \Phi(z)\) となります。ここで \(\Phi\) は標準正規分布の累積分布関数で、 $$P(x) = \Phi(z) = \frac{1}{2}\left[1 + \operatorname{erf}\!\left(\frac{z}{\sqrt{2}}\right)\right]$$ です。上側累積確率は $$Q(x) = 1 - P(x) = \Phi(-z) = \frac{1}{2}\left[1 - \operatorname{erf}\!\left(\frac{z}{\sqrt{2}}\right)\right]$$ です。
計算例
\(\rho=1\)、\(\mu=0\)、\(\sigma=1\)、\(x=1\) のとき:\(y = 1 + \ln(1) = 1\) なので \(z = 1\) です。確率密度は $$f = 0.3989423 \cdot (1+1) \cdot \exp(-0.5) = 0.3989423 \cdot 2 \cdot 0.6065307 \approx 0.4839$$ となります。下側累積確率は \(P = \Phi(1) \approx 0.8413\)、上側累積確率は \(Q \approx 0.1587\) です。
よくある質問
なぜ x は正でなければならないのですか? \(\ln(\rho x)\) の項は \(\rho x \le 0\) のとき定義されないためです。\(x = 0\) では確率密度を 0 とし、極限値として \(P = 0\)、\(Q = 1\) を採用します。
中央値とは何ですか? 中央値 xc は \(\rho x_c + \ln(\rho x_c) = \mu\) を満たす値です。まず \(\rho x_c\) を数値的に解き、それを \(\rho\) で割って求めます。
累積確率の精度はどの程度ですか? \(\Phi\) の計算には Abramowitz-Stegun 7.1.26 の erf 近似を用いており、誤差はおよそ \(1.5 \times 10^{-7}\) 程度です。