テイラールールとは?
テイラールールは、経済学者ジョン・B・テイラーが1993年に提唱した金融政策の指針です。米国のFRB(連邦準備制度)のような中央銀行が、経済状況に応じてどのように短期の名目金利を設定すべきかを示します。具体的には、実際のインフレ率と目標インフレ率の乖離、そして実際の生産(GDP)と潜在生産との乖離を手がかりにします。本計算機は、両方のギャップに均等な0.5のウェイトを置く古典的なバージョンを採用しています。あくまで理論モデルであり、公式な政策指針ではない点にご注意ください。
この計算機の使い方
次の4つの数値を入力してください。現在のインフレ率(\(\pi\))、目標インフレ率(\(\pi^*\)。多くの場合2%)、中立金利(均衡実質金利 \(r^*\)。一般に2%前後と想定されます)、そして需給ギャップ(実際のGDPと潜在GDPの差を、潜在GDPに対する割合で示したもの)です。入力すると、推奨される名目政策金利と、インフレギャップ・需給ギャップそれぞれの寄与の内訳が表示されます。
計算式の解説
計算式は $$i = r^* + \pi + 0.5\left(\pi - \pi^*\right) + 0.5 \times \text{需給ギャップ}$$ です。最初の2項(中立実質金利+インフレ率)は、長期的な名目金利の水準を表します。第3項は、インフレ率が目標を上回ったときに金利を引き上げる方向に働きます。第4項は、景気が過熱しているとき(需給ギャップがプラスのとき)に金利を引き上げる方向に働きます。インフレ率が目標どおりで、需給ギャップがゼロのときは、推奨金利は単純に \(r^* + \pi\) となります。
計算例
たとえば、インフレ率が4%、目標が2%、中立実質金利が2%、需給ギャップが1%だとします。このとき $$i = 2 + 4 + 0.5\left(4 - 2\right) + 0.5\left(1\right) = 2 + 4 + 1 + 0.5 = 7.5\%$$ となります。ルールは、景気を冷やしてインフレを目標まで戻すために、かなり高めの政策金利を推奨していることがわかります。
よくある質問
なぜウェイトを0.5にするのですか? テイラーが1993年に提唱した当初の式では、インフレギャップと需給ギャップの両方に0.5を用いていました。一部の「バランス重視型(balanced approach)」のバリエーションでは、需給ギャップに1.0のウェイトを置きます。
需給ギャップとは何ですか? 実際のGDPから潜在GDPを差し引いた値を、潜在GDPに対する割合(%)で表したものです。プラスの値は、経済が過熱気味であることを意味します。
これはFRBが実際に設定する金利ですか? いいえ。テイラールールはあくまでベンチマーク(目安)です。現実の金融政策では、金融システムの安定、雇用、フォワードガイダンスなども総合的に考慮されます。なお、日本銀行など各国の中央銀行は独自の枠組みで政策を決定しており、適用される金利水準や考え方は国ごとに異なります。